漆の基礎知識
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漆とはウルシノ木から取れる樹液で、採取する時期により呼び名や品質が変わります。
夏の時期に採取した漆が最上級とされているようです。
8~13年経った成木で1年間の採取量はわずか200グラム前後です。
現在は国産の漆は全体の2%程度で、中国やベトナムやタイなどアジア各地からの輸入に頼っていますが、元々の質の違いや輸送方法の都合から品質的には国産のものより劣り、用途によって使い分けられています。
主成分は原産国によって異なり、日本・中国・韓国産はウルシオール、台湾・ベトナム産はラッコール、タイやミャンマー産はチチオールとなっています。
その他の成分は水分・含窒素物・ゴムが含まれています。
不思議な塗料
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絵の具やペンキなどの塗料では、乾くということは水分の蒸発を意味しています。
ところが漆の不思議なところは、乾かすためには適度の湿度と温度が必要とされます。これは主成分のウルシオールに含まれる酵素の性質に関係あるのですが(細かいことは難しいので省略)、とにかく乾燥した場所や寒い場所では漆は乾きません。
早く乾かすためには高温多湿にすればいいのですが、漆器や装飾の場合は早く乾けばいいというわけにはいきません。早く乾かした場合、輪島流に言うと「縮む」と呼ばれる現象が起きます。せっかく美しく均一に塗られた表面に、人間が火傷したときに出来るケロイドのような跡が残ってしまいます。
じゃあ、ゆっくり乾かせばいいのか?・・・・・これまた困ったもので、あまりに時間をかけ過ぎると今度は逆に、いくら高温多湿にしても乾かなくなる現象が起きます。
梅雨の多湿、夏の高温、冬の低温、漆にたずさわる人たちは、常にこれらの自然環境に合わせて漆を管理しなければなりません。
そして更に蒔絵に使う色漆(漆に顔料などで色をつけたもの)になると、色によって乾き方が違います。白は他の色よりかなり早く乾きますが、早すぎると黒くなってしまいます。それならと今度は時間をかけ過ぎると、元々乾きにくい色が乾かなくなる事態になりかねません。
「漆は生き物」と言われる通り、非常に扱いの難しい塗料です。
漆の製品
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輪島塗が高価な理由の一つに、先に述べた漆の性質が関係します。
何度も塗りの作業を繰り返す輪島塗ですが、塗ってすぐには乾かせないので一つの製品を仕上げるためには、数ヶ月の期間が必要となります。
こうして長い時間をかけて出来上がる漆製品ですが、完全に乾いていると言えません。
もちろん見た目には乾いているし、手に漆が付くなんてことも絶対ありません。
ところが漆に弱い方は、出来上がって間もない製品だと稀にかぶれたりします。心配なときは、お店で製造時期を確かめるのも良いと思います。
とくにアクセサリー製品のように直接身につけるものは注意が必要ですね。
また、食器などは大事にして長期間仕舞いこんでいると、乾燥しすぎてひび割れなどの原因となります。
こんな話をすると漆器って面倒だなと思われるかもしれませんが、要は使えば良いだけの事です。せっかく頑丈な漆で仕上げてあるんだし、使った方が長持ちするのなら使わなきゃ損です。
漆器の魅力
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漆は一見乾いてしまったように見えても中ではまだ酵素が働いていて、完全に乾ききるまでにはかなり長い期間がかかります。
時が経つごとに透明感が増し、美しい色合いへと変化していきます。
「漆は生き物」といわれる所以がここにもありますね。
製品を買ったからそれで終わりではなく、長い年月をかけて漆本来の持つ色合いへと変わっていく様を眺めるのが、漆器の本当の魅力です。
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